目次
カーボンネガティブ技術が進んでいる界隈
今回は、工場のカーボンニュートラルからちょっと離れた話をしたいと思います。
日本国内で2024年の平均気温は、統計開始以降最高だった2023年よりも高くなったと発表されました。※1
世界でも、2023年に記録した最高平均気温を2024年は上回った※2と発表されています。
日本のみならず、世界各地でも異常気象による災害が頻繁に起きるようになっています。

2023年11月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)より第6次評価報告書が発出され、「世界全体の温室効果ガス排出量は増加し続けている。人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地はない。」と報告されました。温暖化防止は待ったなしの状況を過ぎているのかもしれません。
日本では、地球温暖化対策に対して下記を宣言しています。
- 2020年10月 2050年までにカーボンニュートラルを目指す
- 2021年 4月 2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指す
これを受けて、温暖化に関わる環境規制もどんどん厳しくなってきています。
そうした中、各企業では様々な取り組みが進んでいます。
製造工程の見直しにまで踏み込んだ省エネ活動や、インフラのクリーンエネルギー利用の拡大、また、それに伴い、エネルギーサプライヤーもクリーンエネルギーの供給量を増やしています。ZEBやZEH※3の建物も増え、サプライチェーンではトラック輸送からよりエネルギー消費の少ない鉄道輸送へ切り替えるモーダルシフトの取組みも進んでいます。

そんな各企業での努力が続く中、最近ではカーボンニュートラルではなく、DACCSやBECCS、CCS/CCU ※4と呼ばれるカーボンネガティブ技術の話題も増えてきました。これらの技術は、簡単に言えば、様々なCO₂の回収技術、貯留技術、利用技術を組み合わせた技術開発のことです。
省エネが叫ばれてから継続して開発されている技術で、すでにご存知の人も多いかもしれませんが、近年、開発が加速し、実証試験も進んでいます。
そこで、徐々に実用化に近づいているカーボンネガティブ技術について超簡単に紹介しておきたいと思います。
カーボンネガティブ技術
1)CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)
まず、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)。
これはご存知の方は多いと思います。CO₂を回収貯留する技術で、プラントや発電所などから排出されるCO₂を回収して貯留する技術です。回収したCO₂を地中深くに圧入する技術などは大規模な実証試験も行われています。

2)BECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage)
次にBECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage)。
これはバイオマスを用いてエネルギーを取り出し、同時に排出されるCO₂を吸収・濃縮して再利用もしくは貯留する技術です。
おいおい燃やしてるじゃん!と思うかもしれませんが、バイオマス由来の排ガスからCO₂を取出し固定するので、カーボンネガティブです。

3)DACCS(Direct Air Capture with Carbon Storage)
最後にDACCS(Direct Air Capture with Carbon Storage)。
これは空気中から直接CO₂を取り出して固定しようという技術で、代表的なものは吸着剤や吸収剤で空気中のCO₂を吸収・濃縮して貯留や再利用する技術です。ヨーロッパでは既に実用化されているものもあります。排ガスと違って空気中のCO₂は濃度が薄いので、吸着して濃縮する技術が肝になります。

最後に
最近では、木材を高層建築に利用する技術や、建材自体にCO₂を固定化する技術開発など、建設分野でもカーボンネガティブ技術の開発が進んでいます。
電気自動車やAIなど、今以上に電力を消費する新たな製品やサービスが日進月歩で増加しています。そのような文明の発展と並行しながら、2050年にカーボンニュートラルを達成するのは並大抵のことではありません。
産業界でのカーボンニュートラル実現には、各企業が力を入れている省エネ活動と、エネルギーサプライヤーが進めているクリーンエネルギー供給施設の拡充と技術開発に加えて、カーボンネガティブ技術の開発と普及が欠かせないものとなっていくのは遠い未来のことではないでしょう。
- 2025年1月6日 気象庁発表
- 気象庁HP 各種データ・資料
世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2024年:速報値)
- ZEB(Net Zero Energy Building)とZEH(Net Zero Energy House)
資源エネルギー庁 ZEBロードマップ委員会とりまとめ H27年12月 にZEBは以下のように定義が検討されている。
「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」
またZEHは、同庁、ZEHの定義(改定版)H31年2月に、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」
と定義されている。
- DACCS: Direct Air Capture with Carbon Storage
直接、大気からCO₂を回収し貯留する技術
BECCS: Bioenergy with Carbon Capture and Storage
CO₂回収・貯留と伴うバイオマスエネルギー利用技術
CCS/CCU: Carbon dioxide Capture and Storage / Carbon dioxide Capture and Utilization
CCSはCO₂の回収・貯留技術、CCUは回収したCO₂を利用する技術
カーボンニュートラル・省エネのご相談は、弊社へお声掛け下さい。
電気自動車やAIなど、今以上に電力を消費する新たな製品やサービスが日進月歩で増加しています。そのような文明の発展と並行しながら、2050年にカーボンニュートラルを達成するのは並大抵のことではありません。
産業界でのカーボンニュートラル実現には、各企業が力を入れている省エネ活動と、エネルギーサプライヤーが進めているクリーンエネルギー供給施設の拡充と技術開発に加えて、カーボンネガティブ技術の開発と普及が欠かせないものとなっていくのは遠い未来のことではないでしょう。
- 2025年1月6日 気象庁発表
- 気象庁HP 各種データ・資料
世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2024年:速報値)
- ZEB(Net Zero Energy Building)とZEH(Net Zero Energy House)
資源エネルギー庁 ZEBロードマップ委員会とりまとめ H27年12月 にZEBは以下のように定義が検討されている。
「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」
またZEHは、同庁、ZEHの定義(改定版)H31年2月に、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」
と定義されている。
- DACCS: Direct Air Capture with Carbon Storage
直接、大気からCO₂を回収し貯留する技術
BECCS: Bioenergy with Carbon Capture and Storage
CO₂回収・貯留と伴うバイオマスエネルギー利用技術
CCS/CCU: Carbon dioxide Capture and Storage / Carbon dioxide Capture and Utilization
CCSはCO₂の回収・貯留技術、CCUは回収したCO₂を利用する技術
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