当社グループはこの度、台湾のバイオテクノロジー企業である三顧股份有限公司 (以下「メタテックAP社」)、その子会社である 樂迦再生科技股份有限公司 (以下「ローカス・セル社」) と、台湾を含む海外ならびに日本における、バイオ・再生医療・細胞治療・遺伝子治療ならびにAI/DXの事業領域での協力を主意とする覚書を締結しました。
覚書調印式は、台北駐日経済文化代表処の蔡明耀・副代表が臨席し、執り行われました。
調印式の模様 (左から、ローカス・セル社 邱俊榮・会長、当社 冨樫経廣・グループCEO、メタテックAP社 陳宗基・副会長、当社 末包聡史・社長、台湾代表処 蔡明耀・副代表)
台湾バイオテクノロジー業界に吹く新秩序の追い風
近年、医薬品業界において、バイオ医薬品や再生医療製品などの高度なモダリティが高い成長を牽引しています。 この国際的なサプライチェーンにおいて、台湾はアジア太平洋地域における再生医療の新たなハブとして急速に存在感を高めています。 台湾はこれまで、高い製造技術を活かした受託製造(CMO)の側面が強調されてきましたが、近年は政府による法整備や産業振興策により、単なる製造拠点から、国際的な提携や治験、市場参入を通じたアジア市場戦略の重要なゲートウェイへと変貌しています。
提携の概要
1998年に電子部品の代理店として設立したメタテックAP社は、その後、再生医療を含む医療分野事業に参入。 過去の製造経験から得られた生産データをデータベースに蓄積しており、学術研究機関と連携してAIアルゴリズムを開発。 スマート製造の「頭脳」を細胞生産に導入することで、生産規模拡大や品質管理といった課題を克服し、細胞治療をより身近なものにすることを目指しています。
2021年には有力企業とともに再生医療用細胞の製造・販売を行う合弁会社ローカス・セル社を設立しました。
再生医療CDMO(医薬品開発製造受託機関)であるローカス・セル社は現在、米国FDAの臨床製造プロセス認証の取得に取り組んでおり、今後はPMDAの認証取得を目指し、製造品質と法規制対応を国際最高水準に引き上げ、日本およびアジア市場への事業展開を強化しています。
この度の提携では、生産施設建設やレギュレーション対応に強みを持つ当社の技術や知見を組み合わせることで、メタテックAP社、ローカス・セル社は再生医療業界において安全で安心の高品質な製造体制を加速させることが期待されます。
また、メタテックAPI社が開発した「Neo-Katana」*、当社が開発したAIソリューション「pharmo.AI」、プロジェクト・コラボレーション基盤「CORRESSA」 を含む各種デジタル技術により、日台を横断するGMP AIのエコシステムを構築する計画です。
署名式に立ち会った台湾代表処 蔡明耀・副代表は、「世界の産業環境が急速に変化する中で、スマートマニュファクチャリングは競争力とイノベーション力を高める鍵となっています。 今回の協力は、両者が持つ技術開発、プロセス最適化、デジタルトランスフォーメーションの専門性を結集するものであり、スマート工場、自動化生産、AI 応用といった分野で強力なシナジーを生み出し、産業に新たな活力をもたらすと確信しています」と期待を述べました。
* 「Neo-Katana」について
メタテックAPが開発した「Neo-Katana」は、AIが支援する次世代のGMP文書管理システムです。 GMP文書を電子的に管理することで、変更管理や逸脱を記録し、バイオ医薬品企業は法規制を順守し、ヒューマンエラーの削減などが期待されます。
メタテックAP社 について
1998年創業の同社は、2004年に台湾株式市場に上場。 電子部品から再生医療までを事業領域としています。 特許取得済みのM細胞技術ならびにAIを通じたイノベーションにより、軟骨、皮膚、臓器の修復における細胞医療のリーディングカンパニーです。 より健康な未来を実現するというビジョンを掲げる同社は台湾に本社を構え、最先端のテクノロジーとバイオテクノロジーを融合し、アジア全域の市場にサービスを提供しています。
ローカス・セル社 について
同社は、新竹バイオメディカルサイエンスパークにPIC/S GMP準拠の細胞工場を建設しており、細胞製品のCDMOサービス展開を予定しています。 海外から先進的な細胞治療製品や技術資源を導入し、台湾の医療臨床資源を背景に、最大規模の細胞治療工場の建設を目指しています。